「同志社系列校合同説明会」のトリは同志社国際中学です。すでに同志社中学と同志社女子中学、同志社香里はレビューしました。
同志社国際、通称「同国」。この学校は、いい意味で「クセが強い」ので入念に下調べをしてから、受験・入学してください。
特色
まず、同志社系列なので教育理念として「自由主義」「国際主義」「キリスト教主義」は他系列校と同じです。
この学校は、いろいろと普通じゃない(褒め言葉)ところがあります。
「普通の学校はつまらない」。そんな感じの生徒が合いそうです。
生徒の2/3は帰国生
同国はインターナショナル・スクールではありません。
文部科学省から「SGH(スーパーグローバルハイスクール)」に指定された日本の学校です。
ただ帰国生が普通の学校よりも圧倒的に多い。それだけです。
日本の学校ですから、授業は基本的に日本語で行われます。
土曜は英語しか使用しない時間帯があったり、習熟度のクラスによっては、外国語で進行する可能性があるらしいです(ごめんなさい、ちゃんとメモれていませんでした)。
47ヶ国から帰国した生徒が在籍しています。グローバル過ぎて笑えてきますね。
彼らは帰国生、つまり外国人ではなく日本国籍を有した日本人です。
一般的にはハーフと呼ばれる生徒も多数います。しかし、この学校では「ハーフ」ではなく「ダブル」と呼ぶそうです。国際的には「ハーフ」はネガティブなイメージ(不十分な、不完全な)があるので不適切な表現です。
逆にいうと、日本生まれの日本育ちである生徒は1/3ということになります。
どこ生まれとか、どこ育ちとか関係なく、飛び込んでいける好奇心旺盛な生徒のほうが充実できるでしょうね。最初なんか、毎日が海外旅行のような感じでしょう。
国内生について、英語や英会話を習っていなくてもOKとのことです。
個人的には慣れ親しむぐらいでないと厳しいのでは?と思ってしまいますが。
習熟度別クラス
いろんな国から帰国した生徒が多数なので、各科目の理解度もバラバラです。
そこでクラスを四段階の習熟度別に分けて授業をされています。英語は六段階です。
あくまで、習熟度別であって学力別、能力別ではないとのこと。
下のクラスだからダメだ、バカにされるとかではなく、習ってないものは仕方ない。基礎からやればいいということです。
そして、理解が深まると上のクラスに上がって行くシステム。上がって厳しければ、また戻る。
ですから、国内一般生が英語を習うのが初めてでも大丈夫ということなのでしょう。
自分にあった進度の授業を受けられるのは安心できますね。
また、第二外国語としてドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、韓国・朝鮮語も学べます。
今まで勉強してきた言語を帰国したからといって、錆びつかせるのはもったいないということ、新しい言語を学べる機会の創出という意味でも素晴らしい取り組みだと感じました。
英検やTOEIC、留学など外国語に関する教育も整っています。最近、英検はあまり人気がなくTOEIC、TOEFLが中心になりつつあるようですが。
留学情報は学校HPを参考にしてください。留学期間も2week、4week、6week、1yearなど充実しています。
校則・風紀について
いろんな文化、バックグラウンドがあるので、「細かいことは気にしない」といった感じでしょうか。校則はありません。
ただ、上履きにはうるさいようです。二足制なのでもちろん履き替えるのですが、踵を踏んでいたりするとガチで注意されるとか。
普通の学校ですと、考えられないことも許されています。
・化粧、メイク、リップ → OKです。(そういう文化の国もあるから)
・ピアス → OKです。(そういう文化、宗教上の理由もあるから)
・染髪 → OKです。(いろんな髪の色の子がいるから)
・マニキュア → OKです。(そういう文化の国もあるから)
生徒の良識にまかせるとのこと。
それが必要なら、そうすればいいのだそうです。
ヤンキー学校のそれとは異なるのかもしれませんし、ただ目立ちたいだけの浅い理由とは一線を画すのかもしれませんね。
私はオープンキャンパスにも参加しましたが、そんなケバケバしい生徒は目につきませんでした。
ナチュラルメイク(?)ぐらいは見かけましたが。
進学先
大学への進学率は現役でほぼ100%、昨年は2人だけが医薬系を目指して浪人の道を選んだそうです。同大を希望していれば行けたということ。
系列校なので、90%以上が同志社大学へ進学します。薬学・看護など同志社大にない学部を希望して、同志社女子大に進学する生徒もいます。
残りは関東方面の大学か芸術系の大学もしくは海外の大学へ。ICU、上智、立教など。
学校の特性上、海外への進学が他校に比べて多いですね。
入試について
国内一般生向けのG選考について書きます。
帰国生は選考パターンが複数あるので、コチラからご確認ください。
出願
まず、国内一般生は学校HPから仮出願をしてください。
その上で、下記書類一式を学校へ送付し、本出願となります。
・入学願書
・写真票、入試結果通知送付先
・入学検定料送金通知書
・出身小学校の卒業見込証明書
※すべてコチラからPDFをダウンロードできます。プリントして使用してください。
「卒業見込証明書」だけは、自分で用意できないので、12月に入ったら小学校の担任にお願いしましょう。
校長に署名・押印してもらうだけの簡単な書類です。成績など証明する書類ではありません。
選択科目
国語と算数は必須ですが、三教科目は「理科・社会・英語」から選択できます。
気をつけてほしいのは、出願時点でどの科目で受験するのかを決定しなければならないということです。
当日は受験科目ごとに教室が分けられますので、出願後の受験科目変更は不可です。
下記は主観も含みますので参考程度に。
・社会:年度による難度のばらつきは比較的小さい印象。
・理科:社会と比較すると、年度により難度のばらつきがある。
・英語:英検準2級程度の難度(先生曰く)。
社会で受験する生徒が一番多くて5割ぐらい、理科が4割強、英語が1割以下で、具体的には昨年の英語受験者は9名です。
得意科目がはっきりしている人は、迷わないでしょうけど、理科と社会の偏差値・得点が同じぐらいの人は、過去問をよく研究して決めてください。
この偏差値帯の学校にしては、算数が比較的やさしめなので、得意であれば有利に運べます。
国語は読解が多少苦手でも、漢字・語句・文法で30〜40点ほどありますので、ここで稼げるようにがんばりましょう。
まとめ
くりかえしになりますが非常に特徴的な学校なので、受験・入学を考えられているご家庭は、何度も学校を訪問したほうがいいです。
子供も個性が強く、自分の意見をハッキリ言う、公立小学校だとちょっと浮いてるぐらいでちょうどいいぐらいです。
最寄駅からの激坂も体験しておいてください。ロードレースでいうヒルクライム級です。
足腰はかなり鍛えられるでしょう。
あと、「大学というところは、好きか得意でないと、やっていけない」という先生の言葉が印象に残りました。
単に偏差値で大学を選び、卒業して就職できても、それだけでは、せっかく大学へ進学するのにもったいないということだと思います。
好きなこと、得意なこと、興味のあることを中高6年間で見つけて、それを学ぶために大学へ行ってほしいとのメッセージと受け取りました。
この学校なら、それらを見つける手助けをしてくれるのではないでしょうか。
同志社系は基礎学力をつけた上で、その先は自分で選ぶ、探すことを推奨します。
それこそが何度もおっしゃってた「個の尊重」「自主性」を大切にするということ。
こういった学校では、あからさまに人の意見・主張を否定しません。
人の意見・主張を理解した上で、自分の意見を主張する。
そういう考え方が学べる学校です。