【考察】2023年度 関西学院中学部 入試結果感想(A日程 B日程)

関学中学部の入試結果が公表されましたので考察します。
試験は2023年1月14日(A日程)17日(B日程)に行われました。

例年、女子は厳しい戦いになるのですが、前年はかなり警戒されたのかそれほどでもなく、逆に男子の受験者数が増えた年度でした。
募集定員が男女で違うため、単純に比較はできませんが実質競争率や合格最低点の差が埋まる傾向が見られます。

さて今年はどんな入試結果になったのでしょうか?
それでは見ていきましょう。

2023年度 A日程 受験者数・倍率

今年度から、WEB出願に切り替えた関西学院中学部ですが、出願者数に影響はあったのでしょうか?
しかし、近年の関学はIT化や情報公開の速やかさなどに明確な変化が見られますね。
素晴らしい傾向だと思います。

それでは見ていきましょう。

前期 募集人数志願者数受験者数合格者数実質倍率
男子(65名)161(-52)150(-56)75(-3)2.0(-0.6)
女子(35名)93(-33)87(-33)46(+1)1.9(-0.8)

男女ともに衝撃的な数字が飛び込んで来ました。受験者数が激減です!
思わず二度見するレベルです。
リサーチする学校を間違えたのかと思いました。

ここまで受験生が激減する要因があったのでしょうか?
(中学受験ニュースを追いきれていませんので、ご存じの方がいらっしゃいましたらコメント欄かtwitterDMで教えてください)
男女ともに前年から25%ほど減少しましたので、今年度の受験生はラッキーでしたね。
とはいえ、ここまで来るとラッキーを通り越して心配になるほどです。

実質競争率も約2.0倍まで下がり、関大一中と同じくらいの競争率になっています。
もともと関学中は募集定員が140名と同志社系や関大一中と比べて100名ほど少なく、競争が激化する傾向がありましたので、この結果には驚いています。

関学A日程は、男子と比べて募集定員の少ない女子が激戦になることが通例になっていましたが、昨年あたりから男子と女子の競争率に差がなくなってました。
女子受験生が過度な競争を避け、男子志願者が増加した結果ですが、未だに女子の競争率が2倍を切ったことに衝撃を受けています。

また、同じ関学系の啓明学院との相関関係ですが、関学女子が減少した影響が啓明女子の志願者増加につながっているように見えます。
しかし、男子はというと関学は大きく減少しましたが、啓明前期男子は前年から増減はほぼありません。ここはつながらなかったですね。
兵庫県の中学受験生に大学附属系が敬遠されたのか、関学中が敬遠されたのかはわかりませんが最近では珍しい動きだったように思います。

関学中のことですから当然来年は巻き返して来ると予想しますが、長年関学の激戦を見てきた1人としては、一抹の寂しさも感じています。
2024年組の皆さんは、今後の関学志願者の動向を注視しておきましょう。

2023年度 B日程 受験者数・倍率

B日程も定着して久しくなりました。
傾向も安定してきましが、やはり統一日から4日目かつ募集人数が少ないこともあり、実質倍率は少しの変動で上下します。

B日程 募集人数出願者数志願者数 ※受験者数合格者数実質倍率
男子(25名)272(-58)199(-58)157(-46)46(+4)3.4(-1.4)
女子(15名)209(-7)162(-9)123(-13)43(+7)2.9(-0.9)
※志願者数とは出願者数からA日程合格者・帰国入試合格者を差し引いた人数です

B日程も男子は著しく志願者が減少しています。
前年男子の受験者が少し多かったとはいえ、この減り方には驚きました。
今までが激戦だったこともあり、物足りなく感じてしまいますが、実質倍率でB日程が3.4倍と言われれば、妥当だと感じる部分もあります。

女子に関して、出願者数は前年からそれほど変化がありませんが、受験者数が減少して合格者数を多く出したため、実質倍率は3.0倍を切り、男子以下の競争率となりました。

A・B日程になってから、特にB日程は激戦が続き、受験生側がイヤになって敬遠されているのでしょうか。
関学中には入りたいが、A日程でダメなら諦めて、可能性のある他校を受験するというスタイルが現実的と考えているのかもしれません。
実際、A日程不合格からのB日程での逆転合格はそれほど多くはないと思います。
偏差値的に見ても男子で50前半と50後半では数字以上の壁があると考えます。

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2023年度 A日程入試 平均点・合格最低点

次に受験者の平均点と合格最低点を見ていきます。
残念ですが例年通り合格者平均は公表されていません。

まずはA日程から。
配点は国語と算数が200点満点理科が100点満点の500点満点です。
( )内の数字は前年比です。

平均点国語(200)算数(200)理科(100)合計(500)合格最低点
受験者男子143(+5)134(+6)61(-4)338(+7)348(-6)
受験者女子156(+5)133(+5)64(-1)353(+9)362(-7)

前年とほぼ同じ平均点と言っていいでしょう。
国語平均は男子が約7割・女子が約7割5分、算数が約6割5分、理科も6割強です。
合格最低点は男子が約6割8分で、女子が約7割。
目立った差でいうと、女子の国語平均が男子より10点以上高いこと。

見ていて感じるのは、男女ともに競争率が大幅に減ったにもかかわらず、合格最低点が若干ですが上がっていること。
これは問題レベルが易化したのではないかと考えます。

そして、男女の競争率はほぼ同じなのに、女子の合計平均点・合格最低点が15点ほど高いこと。
このことからも女子受験者のレベルが男子よりも高いのではないかと思わせます。
特に国語の得意な女子が、点数を稼いで他者に差をつけて合格した印象です。

男子は得点率7割で合格可能ですが、募集人数の違いがあるとはいえ、競争率が同じでも女子だと全然足りないんですよね。
ここが関学女子の難しさを象徴していると感じています。

2023年度 B日程入試 平均点・合格最低点

次にB日程。
国語・算数の二科目受験です。配点はA日程と同じく国語と算数が各200点満点。
A日程から理科がなくなったと考えればいいでしょう。
ですが、A日程と帰国生入試を受験した者には10点がプラスされるので410点満点になります。

平均点国語(200)算数(200)合計(410)合格最低点
受験者男子141(+16)127(+9)272(+26)312(+25)
受験者女子156(+14)132(+13)291(+25)318(+14)

前年は算数がかなり難化したので、今年は戻してきた様子。
国語も易化したようで平均点がかなり上がっています。
前年から競争率がかなり下がった上で、この数字なのでかなり易しかったのではないでしょうか。

問題レベルが下がったからといって、喜んでばかりもいられません。
その煽りで合格最低点が爆上がりしています。
当然といえば当然ですが、競争率がかなり下がった状況でのことなので穏やかではありません。
例年の競争率だったとすれば、320点は軽く超えていたでしょう。

これらも実質競争率が男子3.4倍・女子2.9倍での話ですから、関学中を受験する女子層がいかに優秀なのかわかると思います。
これは入学してからも男子は大変そうですね(冗談)。

まとめ

2023年度 関西学院中学部の入試をまとめます。

  1. A日程の志願者数が男女ともに心配になるほど激減。
  2. B日程志願者数でも男子は激減、女子は前年並。
  3. 競争率を考慮するとA日程は易化傾向(前年から平均点はそれほど変わってない)。
  4. B日程問題レベルが大幅に易化したように思われる。
  5. A日程の合格最低点:女子の競争率の方が低いにもかかわらず合格最低点は男子より高い。
  6. 問題レベルの低下のせいか、B日程の合格最低点が爆上がり
  7. 両日程で何故にこれほど志願者が激減したのか謎

今年度は志願者が減って、受験生にとって非常にラッキーな年でした。
ただ来年以降、関学中を目指す受験生・保護者の皆様は、これが普通と思わない方がいいでしょう。
来年はいろんな意味で巻き返してくると予想します。
志願者数しかり、競争率しかり、問題レベルしかり…。

これから向かう夏・秋は本当の意味で勝負どころになりますので、後悔のないように一日一日を大切にしてください。
中学受験は一生に一度だけ。6年生にだけ与えられた貴重な権利です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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