今年度、入試日程が変更になった関学中学部の入試結果が公表されましたので考察します。
2020年1月18日(A日程)21日(B日程)に行われました。今年度が初の試みということで注目していましたが、どうだったのでしょうか?
来年以降の参考になれば幸いです。
2020年度A日程 受験者数・倍率
残念なのが出願した志願者数は発表されていますが、実際の受験者数が発表されていない点です。
ですから実質倍率は推定になります。
とはいえ、A日程は統一日ですから欠席者は多くて10名ぐらいでしょう。
では、受験者数・倍率がどうなったかを見ていきましょう。
実質倍率は10名が欠席したと仮定して算出しています。
( )内の数字は前年比です。
前期 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 | 実質倍率 |
男子(65名) | 200(+4) | 190 | 80(−24) | 3.1 | 2.4 |
女子(35名) | 156(+20) | 146 | 46(−25) | 4.5 | 3.2 |
A日程男子は前回比で+4名。
誤差の範囲内ですが、A・B方式に変更されて募集人数減に比例して、合格者も減らされたために、かなり難化しました。
前年までは推定2.0倍弱、今年は推定で男子2.4倍。統一日午前でこの跳ね上がり方は厳しいです。
予想はしていましたが、昨年までなら合格してたはずの81番目〜100番目ぐらいの約20名が残念な結果になってしまいました。
女子に関しては地獄絵図です。
志願者が20名増えた上に、合格者は25名減らされました。想定の実質倍率は3.2倍。
本気で関学に入学したくて勉強してきた受験生の中で、上位1/3以内に入らなければなりません。
統一日午前ですよ?卒倒しそうです。
2020年度B日程 受験者数・倍率
今年度が初の試みなので、前年との比較はできません。
後期日程しかも統一日から四日目ともなると、上位志望校から合格をもらったため欠席する受験生が少なくありませんので、考察する身としてはつらいのですが強引に考察します。
お断りしておきますが、受験者数が発表されていない以上、下記は想定になります。
中学受験で第一志望校に入学できる者は約30%と言われています。
少し乱暴ですが、このデータを使用します。
参考ですが、同志社香里の後期日程も約30%が欠席します(前期日程合格者含む)。
つまり、後期日程出願者の30%がすでに上位志望校から合格をもらって、B日程を欠席したと仮定した上で話を進めます。
B日程 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 | 実質倍率 |
男子(25名) | 292 | 172 | 43 | 11.7 | 4.0 |
女子(15名) | 233 | 155 | 24 | 15.5 | 6.5 |
うーん、女子はもう少し受験しているような気がしますが、ブレると前提がおかしくなるので、このまま進めます。
第一印象は「意外と合格を出さなかったな」です。
募集人数の3倍は出すと思っていました。なぜならこの試験での上位15%〜20%に入れる学力なら、他校が第一志望でもR60弱までの学校なら、合格できているんじゃないかと考えたからです。
つまり、B日程で合格しても他校へ行く生徒が2/3はいるのではないかと思っていました。
逆でしたね。関学中は2/3が入学すると踏んでいるようです。
後期合格者から何人が入学するのか、非常に気になります。
いずれにしても激戦すぎて、目が点になります。想定実質倍率で4.8倍とか6.8倍とか普通じゃないです。この偏差値帯でかなり突き抜けていないと合格までたどりつかないと感じました。
受験生のレベルも予想がつきません。
A日程と同レベルなのか、はるかに上のレベルの受験生なのか、まだ合格がもらえていないのか。
いずれにしても、どんな入試であれ、上位15%〜20%に入るのは並大抵のことではないということです。
ここまで難化すると、もう私の知っている関学中ではなくなってしまったのかもしれません。
2019年以前の過去問を解いて、「合格最低点を超えた!」と手放しで喜べない状況です。+20〜30点を目標にしたほうが良さそうですね。
はたして、次期のR4はどんな数字になるのでしょうか。
平均点・合格最低点
次に受験者の平均点と合格最低点を見ていきます。
残念ですが合格者平均は公表されていません。
2020年度 A日程入試
まずはA日程から。
配点は国語と算数が200点満点、理科が100点満点の500点満点です。
なお、合格者平均は公表されていません。
( )内の数字は前年比です。※配点が異なるので前回第1日と第2日の平均を合算しています。
平均点 | 国語(200) | 算数(200) | 理科(100) | 合計(500) | 合格最低点 |
受験者男子 | 141(−1) | 127(+3) | 67(+3) | 335(+5) | 355(+23) |
受験者女子 | 153(+3) | 123(+1) | 66(−2) | 342(+1) | 371(+31) |
各教科の平均点が前年比で±5点以内です。関学中の入試問題作成能力には舌を巻きますね。
平均点は前年のままですが、競争率がUPしたため合格最低点だけが跳ね上がる形になりました。
このデータでも女子には厳しいですね。男子よりプラス16点が必要です。
合格最低点が7割を超える高得点争いになるとミスができないんですよね。女子に至っては7割5分に届こうかという感じなので、実力があってミスをしない受験生が合格する印象です。
女子は国語の平均点が153点で7割5分を超えています。合格者平均じゃなくて受験者平均です。
合格層は170〜180点ぐらい取るのでしょうか?
この時点で震えるレベルなんですが、B日程はもっとすごいことになります…。
2020年度 B日程入試
次にB日程。
国語・算数の二科目受験です。配点はA日程と同じく国語と算数が各200点満点。
ですが、A日程と帰国生入試を受験した者には10点がプラスされるので410点満点になります。
初の試みなので前回との比較はできません。
平均点 | 国語(200) | 算数(200) | 合計(410) | 合格最低点 |
受験者男子 | 156 | 84 | 245 | 280 |
受験者女子 | 167 | 96 | 269 | 307 |
なんていうか…。
国語と算数の難度のバランスが微妙ですね…。
受験者の平均とはいえ、国語の平均点は8割前後で算数の平均は男子4割強、女子5割弱。
差がありすぎなのでは?
算数の問題がどれほど難しいのか気になるところです。
合格を勝ち取るためには、平均+40点が必要です。
まとめ
2020年度 関西学院中学部の入試をまとめます。
- 直近3年の受験者数は右肩上がりで競争激化。
- 日程変更でさらに厳しくなった印象。
- A・B両日程で国語で高得点争い。
- B日程の算数平均点の低さが異常。ここで差をつけないと合格が見えてこない。
- 高得点争いになるので、ミスをしない対策が必要。
- A日程で不合格の場合、10点もらえるとはいえ、B日程での逆転合格はかなり厳しい。
- 合格最低点も毎年上がるばかり。
- B日程の合格者が思ったよりしぼられた。
来年度の予測
あくまで個人的な見解なので、話半分で読み流してください。
- A日程・B日程ともにかなりハードルが上がったのでチャレンジ層が減る。
- ここまでくると、少し敬遠される可能性が高い。
- 統一日の受験者が啓明学院へ流れて、啓明学院が難化する。
- A日程のみの受験で、B日程を受験しない人が増える。
- 結果的にB日程は競争率という意味で今年度より易化する。
来年以降、関学中学部を志望校とする受験生のみなさま。
今年度は入試日程変更の初年度でした。今年度の結果を受けて来年度に受験生がどう動くのか、まだまだ読みづらい部分があります。他者がどう動いても、動じない自信を持てる努力をしましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。