ようやく立命館中学の入試結果が公表されましたので考察します。
立命館中学の入試結果は毎年夏頃の公表で、記事にするのを忘れてしまいます。
今年は昨年セットしたリマインダーが発動して、ようやく執筆にとりかかることにw
入試自体は約半年前の2022年1月15日(前期)16日(後期)に行われました。
随分と前の話になってしまいますが、お付き合いいただければと。
2022年度 受験者数・実質倍率
では、2022年度の受験者数・実質倍率がどうなったかを見ていきましょう。
[ ]内の数字はALコースからの回し合格の人数です。
( )内の数字は前年比です。
立命館中学は各試験方式に定員を設けているわけではなく、全試験方式を通じて、定員を「ALコース:約60名」「CLコース:約60名」と設定しています(内部進学者を除く)。
ですから、合格発表も前期・後期あわせて同日に発表。
ざっくりいうと、ALコースは国公立・医歯薬系を目指すコース(外部受験)。CLコースは立命館大学に進学するコース(内部進学)。
正確には中3進級時にMSコース(外部受験)とコアコース(立命館進学)に分かれるようです。
ですからALコースからでもコアコースを選択すると内部進学ということになります。
募集人数 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
前期A ALコース | 67(+15) | 66(+14) | 25(+6) | |
前期A CLコース | 34(+8) | 31(+6) | 41[22](-1) | |
前期B ALコース | 126(-22) | 117(-25) | 24(-18) | |
前期B CLコース | 62(-23) | 59(-18) | 39[29](+5) | |
後期 ALコース | 413(+36) | 401(+38) | 92(-11) | |
後期 CLコース | 190(+17) | 184(+13) | 99[77](+17) | |
合計 | 892(+28) | 858(+28) | 320(+1) | 2.7(-0.1) |
ALからCLへの「まわし合格」があるせいか「とりあえずALで出願しとけ」な感じでしょうか?
各日程とも約2/3がALで出願しています。
一定数は「ALがダメなら他校へ進学する」という生徒もいるかもしれませんが、コース分けはともかく立命館中学に入学できるという意味での競争率を各日程で算出してみました。
入試方式 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
前期A | 101(+23) | 97(+20) | 66(+16) | 1.5(±0) |
前期B | 188(-45) | 176(-43) | 63(-23) | 2.8(+0.3) |
後期 | 603(+50) | 585(+51) | 191(+6) | 3.1(+0.2) |
合計 | 892(+28) | 858(+28) | 320(-1) | 2.7(-0.1) |
志願者は前期Aと後期が増えて、前期Bはかなりの減少、全体で見ると誤差の範囲内か。
トータルの競争率も前年とほとんど変わりませんね。
前期A
今回は志願者がかなり増えました。合格者数も比例して増えましたので、競争率という意味では前年並です。受験生のレベルが上がっているのかもしれませんね。
Aで合格者が増加したため、そのしわ寄せが前期Bに来たようにも見えます。
それでも優遇入試で1.5倍です。これをどう感じるでしょうか?
個人的には「厳しいな」と。
諸条件を満たして出願資格を得た上での1.5倍。出願資格を得るためのハードルが違うとはいえ、同志社女子の自己推薦入試のように合格内定とは全然ちがいます。約1/3は不合格になりますから。
受験者平均点・合格者平均点・合格最低点が前期Aは公表されていないため、前期Bと比べてどれくらい入学しやすいのかが気になるところですが調べる術がありません。
試験日程が統一日AMということもあって立命館中学が第一志望の受験生がほとんどかと思います。
となれば、Aで出願資格を得られなかった受験生がBで出願していると考えていいのでしょうか?
受験プランによっては翌日以降に本命校がある場合もあるかも?
そもそも本命が大学付属系ではないのかもしれませんね。
前年との比較では急激に志願者が増えていると言って差し支えないと思います。
一昨年からですと、、、
志願者数:51名→78名→101名…。
倍増しています。
うーん、恐ろしい。
前期B
普通に統一日AMの一般入試です。
競争率は2.8倍。統一日の同志社系各校よりも高倍率で、2.5倍前後の同志社香里や関学中学部よりも上となれば、上位1/3を目指すという「かなり厳しい戦い」と言わざるをえません。
加えて今年は前期Aの合格者を増やしたことが影響したのか、Bの合格者数が減っています。
直近3年の合格者数の推移を見てみると、、、
合格者数:124名→86名→63名…
一昨年から半減…。この傾向が続くようなら「前期Aの出願資格」を積極的に取り行かないと厳しいかもしれません。
後期
後期は年度によって100人単位の増減がありますので、ココに照準を合わすとすればかなり持ち偏差値に余裕がないとキツイ戦いになると思います。
志願者が流動的な後期試験なので年度によって様変わりすると言ってもいいかと。
昨年の志願者は554人ですが、一昨年などは724人で地獄絵図の様相でした。
併願であったりチャレンジであったり、様々な思惑が渦巻く後期試験。競争率を予測するのは難しいので、受験プランは慎重に練りましょう。
ただ、関関同立系中学の本校で後期入試の競争率が3.0倍前後であれば妥当と感じています(レベルは高いですが)。
関学中学部のB日程や同志社香里の後期などは4.0倍を軽く超えてきますので。
それでも厳しい戦いには違いありませんし、間違いなく激戦と言えるでしょう。
2022年度 前期B入試 平均点・合格最低点
次に受験者と合格者の平均点、合格最低点を見ていきます。
前期Aに関しては点数が公表されていませんので割愛させていただきます。
まずは前期Bから。
配点は国語と算数が100点満点、理科と社会が50点満点の合計300点満点。
判定方法は3パターンがあり、もっとも高いもので判定されます。
①(国・算・理の合計)×1.2
②(国・理の合計)+(算×1.5)
③ 4科合計
平均点 | 国語(100) | 算数(100) | 理科(50) | 社会(50) | 合計平均点 | 合格最低点 |
受験者 | 47.0(-20.9) | 52.9(+2.6) | 28.5(-1.3) | 34.5(-2.9) | 161.0(-22.2) | |
AL合格者 | 59.5(-20.4) | 72.6(+3.8) | 36.0(+0.1) | 40.1(-1.4) | 208.3(-17.5) | 192(-20.0) |
CL合格者 | 50.8(-21.5) | 63.8(+3.3) | 31.8(-2.5) | 38.0(-2.6) | 183.0(-23.9) | 174(-22.0) |
「国語難化しすぎ…」これ以外は何も言えねぇ…。
前期でコレやっちゃうんですね(白目)。
100点満点のテストで平均点が20点も下がるって、控えめに言って「異常」。
それ以外の3科は至って「普通」です。
これ出題者が意図的に難しくしたのかはわかりませんが、もともと記述が多い出題傾向も相まって、うまく噛み合わなかった可能性もありますね。
そして、その国語によって、合計平均点・合格最低点が下に引きずられた。
受験生のレベルなんかは変わってないと思います。
今回の入試では社会が易しかったようですので「4科受験」、または算数エリートによる「1.5倍ブースト」を使えた受験生が有利だったのではないかと。
オーソドックスな「国・算・理×1.2倍チーム(バランス型)」には厳しかったように感じました。
2022年度 後期入試 平均点・合格最低点
次に後期。配点と判定方法は前期と同じです。
平均点 | 国語(100) | 算数(100) | 理科(50) | 社会(50) | 合計平均点 | 合格最低点 |
受験者 | 54.6(-4.3) | 52.0(-4.2) | 29.2(-2.0) | 32.5(-2.7) | 168.2(-12.4) | |
AL合格者 | 67.0(-3.4) | 74.2(+0.2) | 36.5(-2.6) | 37.1(-2.3) | 217.5(-6.6) | 201(-8.0) |
CL合格者 | 61.3(-5.4) | 63.4(-0.2) | 33.4(-2.3) | 36.0(-1.1) | 195.0(-7.9) | 187(-9.0) |
うーん、平和w
全教科において平均点は少しだけ(1問分くらい)下がってますが、とてもバランスのいい難易度という印象です。
個人的には前期をこのバランスにしてあげて欲しかったかな。
後期はある意味で尖っていてもいいと思ってます。
受験者平均では一番低い算数ですが、合格者平均だと上にくる。
加えて「算数優遇」の判定方式も用意されてますので、やはり算数を得意科目にできると中学受験を有利に展開できますね。
とはいえ、立命館後期の算数は手強いと思っています。
個人的には同志社系算数で9割取れても、立命館後期だと7割ぐらいの印象。
大学付属系としては問題レベルは一段上と考えておいたほうがいいかもしれません。
前期は普通なんですけどね(当時)。たしか国語も難しかったなぁ。
まとめ
2022年度 立命館中学の入試をまとめます。
- 前期Aの志願者数が増加傾向。一昨年からは倍増。
- 前期Bの合格者数が減少傾向。一昨年からは半減。
- 後期の実質倍率3.0倍は厳しいが、このレベルとしては妥当。
- 前期Bの国語が急激な難化で阿鼻叫喚。他3科は普通。
- 前期合格最低点は国語の影響で下に引きづられた。
- 後期はとてもバランスのいい問題レベル(厳しいけど)。
校舎もまだまだ新しく、充実した環境が魅力の立命館中学。
長岡京に移転して、京都はもちろん大阪から通学しやすくなりました。
JR「長岡京」からは少し距離がありますが、阪急「西山天王山」からは徒歩10分圏内。
外部受験にも積極的でサポートもバッチリなようですね。
入試に関しては、募集人数が前期後期あわせて計120名(内部進学除く)なので、決して多くはありません。よって激戦になりやすいのでご注意ください。
後期はともかく、ここ最近は前期A(志願者増)とB(志願者減)で混沌としています。
第一志望なら前期Aで出願資格を得られるような準備をしておきましょう。
まずは「小学校の成績」、加えて「諸活動への参加」。「英語運用能力」があればさらに優遇されるようです。
お子さんにあった戦略を早い段階で意識しておく必要がありそうですね。
そういうのが面倒なら、一般入試で蹴散らしてしまいましょう。
またコースによる毛色も少し特徴がありそうなので事前によく調べておいたほうがいいと思います。
上を目指すならAL。大学付属を楽しむならCL。
個人的には外部受験するなら進学校でいいような気もしますけど…。
いずれにしても魅力的な学校で、今後も注目を集めると思います。
人気校なので油断せずにがんばってください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。