同志社香里中学の入試結果が公表されましたので考察します。
2020年1月18日(前期)20日(後期)に行われました。今年度は天気もよく、この時期にしては気温も穏やかでした。
来年以降に役立ててもらえれば幸いです。
↓2021年度の入試結果はコチラの記事になります。
2020年度前期 受験者数・実質倍率
いろいろな入試形式・日程があるので一概には言えませんが、基本的に統一日午前の受験者数がその学校の人気をはかるバロメーターになると考えています。
午後入試や翌日以降は併願校であったりチャレンジだったりで、日程や併願プラン次第で偏りますし、欠席されることも多々ありますので、本気度という点では前期や一次試験に劣ります。
では、受験者数・実質倍率がどうなったかを見ていきましょう。
( )内の数字は前年比です。
前期 募集人数 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 | 実質倍率 |
男子(95名) | 257(−18) | 242(−21) | 103(−1) | 2.7(−0.2) | 2.3(−0.2) |
女子(95名) | 226(−21) | 220(−19) | 105(−2) | 2.4(−0.2) | 2.1(−0.1) |
前期の受験者数は前回までが右肩上がりが続いてましたので、どこまで行くのだろうと思っていましたが、今年度は減少しました。男女ともに約20名の減少です。
ここ最近、人気が加熱しすぎて躊躇されたのかもしれません。
R4での偏差値は上がっていませんが、五木テストの目標偏差値は2年前との比較で+2でした。
首都圏から見ると、たいした倍率に見えないかもしれませんが、このあたりの偏差値帯ですと厳しい戦いになります。
2020年度後期 受験者数・実質倍率
( )内の数字は前年比です。
後期 募集人数 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 | 実質倍率 |
男子(25名) | 510(−6) | 340(−18) | 85(−19) | 20.4(−0.2) | 4.0(+0.6) |
女子(25名) | 448(−3) | 288(−27) | 69(−50) | 17.9(−0.1) | 4.2(+1.6) |
いったい何があったのでしょうか?
出願者数や受験者数は後期日程なので誤差レベルですが、注目すべきは合格者数です!
例年は男女それぞれで100名前後は合格が出されるのですが、今年度は男子85名、女子にいたっては、たったの69名です。これはまったく予想していませんでした。
説明会でも「後期もそれぞれ100名ほど合格を出しています。毎年30名ほどが前期不合格から後期逆転合格で入学されています。」とアピールされていて、前期後期での出願を強く提案されていました。
この数字だけを見ると、前期不合格からの後期合格者は数名しかいないのではないかと感じてしまいます。なぜなら2020年度前期の合格最低点は過去8年まで遡っても、もっとも低かったからです(問題レベルが変わっていないとすると)。
今年度、後期を当てにしていた受験生は気の毒な数字となりました。
平均点・合格最低点
次に受験者と合格者の平均点と合格最低点を見ていきます。
2020年度 前期入試
まずは前期から。
配点は国語と算数が120点満点、理科と社会が80点満点です。
( )内の数字は前年比です。
平均点 | 国語(120) | 算数(120) | 社会(80) | 理科(80) | 合計(400) | 合格最低点 |
受験者男子 | 63.1(−17) | 68.7(+1.4) | 54.4(±0) | 51.5(−4.4) | 241.8(−22.6) | 252.0 |
合格者男子 | 72.4(−15.8) | 84.6(−0.6) | 60.7(+0.2) | 57.7(−5.7) | 281.0(−23.9) | 252.0 |
受験者女子 | 70.5(−12.9) | 65.8(−1.4) | 51.4(−0.3) | 55.6(−4.2) | 244.9(−20.8) | 253.0 |
合格者女子 | 81.4(−10.7) | 78.8(−5.4) | 56.9(−1.7) | 57.0(−5.6) | 281.8(−24.5) | 253.0 |
全体的に見ても、前年比で平均点がわずかに上がっているのは「受験者平均男子の算数」と「合格者平均男子の社会」だけです。
女子にいたってはすべてで平均点が前年割れの結果となりました。
数字だけみると、問題レベルを上げてきているということになりそうです。
注目すべきは国語。前年の前期国語がやさしめだったことを考慮しても平均点が下がりすぎです。
問題レベルが難化しています。
個人的に国語は少し傾向が変わってきていると感じています。前年は「送り仮名」を、今年は「部首の持つ意味」を問う問題が出題されました。このような問題は今までなかったように思います。
前期入試の総合的な今年度前期の印象は…、
・国語:難化
・算数:例年並み
・社会:易化
・理科:やや難化
今年度の前期は国語が難化したので、得意な受験生が差をつけられなかったのではないかと推察します(国語の最高得点は103点)。
逆に算数が得意な受験生は、受験者平均と合格者平均の乖離を見てもわかるように差をつけて逃げ切った可能性が高いです(算数の最高得点は、ほぼほぼ毎年満点)。
あと、社会の平均点が理科の平均点を上回っている点にも注目です。
同志社香里は三科目アラカルト方式(国語・算数は必須)でも得点としてくれるので、社会か理科のどちらかを捨てても構いません。
ですから、他校の受験科目との兼ね合いで社会を勉強していない受験生も一定数いるのです(0点でも受験はする必要がある)。
にもかかわらず、社会の平均点が理科を上回るということは、数字以上に社会が易しかったと考えられます。
2020年度 後期入試
次に後期。
配点は前期と同じく、国語と算数が120点満点、理科と社会が80点満点です。
( )内の数字は前年比です。
平均点 | 国語 | 算数 | 社会 | 理科 | 合計 | 合格最低点 |
受験者男子 | 78.7(+4.3) | 70.7(−5.4) | 60.2(±2.2) | 54.8(−1.8) | 269.3(−0.9) | 297.5 |
合格者男子 | 90.6(+5.9) | 95.5(−5.6) | 66.6(+3.2) | 62.2(−1.1) | 321.6(+1.1) | 297.5 |
受験者女子 | 83.0(+3.0) | 64.2(−11.1) | 57.1(−0.8) | 53.2(−2.5) | 262.1(−11.5) | 293.75 |
合格者女子 | 93.5(+4.9) | 89.3(−6.4) | 66.9(+4.7) | 60.6(−0.6) | 315.7(−0.5) | 293.75 |
まず目につくのは算数ですね。前年よりかなり難化したのでしょうか?
女子の受験者平均は何が起こったのかと思うほどの下げ幅で、どんな問題だったのか非常に気になります。
男女ともにですが、算数に関して受験者平均と合格者平均の差が約25点もあります。
このあたりに、後期女子の合格者数が大幅に減少した理由があるのかもしれません。
算数が得意な子と不得意な子でかなり明暗がわかれる結果になったと予想されます。
国語は易化したようです。
合格最低点は昨年から1〜3点ほど上がっただけなので、難化した算数を易化した国語で上手くカバーした受験生が合格したということですかね。
理科・社会はあまり変化がないようですが、前期と同じく社会の平均が理科より高いので、今年は社会を捨てずに最後まで勉強した受験生が報われた年度だったのではないでしょうか。
後期入試は塾の偏差値表によると2ぐらいの差しかありませんが、調子が悪くても300点(7割5分)を取れる準備をしておかないと厳しいかもしれません。
まとめ
2020年度 同志社香里中学の入試をまとめます。
- 近年で初めて前期入試の受験者数が減少。合格者数は例年並み。
- 前期入試は実質倍率と合格最低点からみて、ハードルは下がった。
- 前期は国語が難化し、高得点(100点以上)が取りづらく、突き離すのが難しかった。
- 後期入試の受験者数もやや減少したが、合格者数が大幅減。
- 後期の合格者数を絞ったため、結果的にかなり難化。
- 後期入試の算数が難化、明暗くっきり。
- 前期後期とも、算数の得意な受験生が有利な入試だった。
- 前期後期とも、理科よりも社会を得意とする受験生が若干有利だった。
来年度の予測
あくまで個人的な見解なので、話半分で読み流してください。
- 前期は今年度のハードルが低かったため、受験者数が増え、実質倍率も上がる。
- 問題レベルにもよるが、前期は合格最低点が7割前後(280点)に戻る。
- 後期入試は今年度の結果(難化しすぎ)を受けて敬遠され、受験者数が減少する。
- 後期試験の合格を今年よりは多く出す。
- 結果的に後期試験は今年度よりも易化する(特に女子)。
来年以降、同志社香里を志望校とする受験生のみなさま。
今年は受験者数が減少したとはいえ、まだまだ人気校ですので厳しい戦いになります。
今はコツコツ努力して積み上げましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。