関西大学の併設校である関西大学北陽中学校。
中学HPによると、関西大学への内部進学率は85.7%(2022/1/20発表)。
2021年実績は89.0%でほぼ9割。
この数値について、少しツッコんでいきたいと思います。
結論
中学受験で関大北陽中学に入学した生徒(いわゆる中入生)の関大進学率はこれほど高くありません。
中学HPにUPされている内部進学率
内部進学率 85.7%(2022年)
内部進学率 89.0%(2021年)
⬆これを真に受けてはいけません!
これは「中入生+高入生の内部進学率」です。
良いとか悪いとかについて、言及するつもりはありません。
HPに記載されている事実をまとめて所感を述べますが、悪く言われていると感じる場合もあるでしょう。
熱望校であったり、在学中であったりする場合は、気を悪くされることも考えられますので、ここで戻ってもらってかまいません。
では、以下で説明します。
【学校HP】進学率の算出方法に疑問あり
中入生:中学から入学した生徒
高入生:高校から入学した生徒
以下、こう表現しますのでよろしくおねがいします。
まず学校発表の数値を細かく見ていきましょう。
中学HP(2022/1/20 UP)
関大北陽中学のHPではこう書かれています。
以下、HPの文言を引用します。
今年度の関西大学への内部進学(卒業見込者入試)結果です。
引用元:関西大学北陽中学HP→(いつの間にか辞退者が1名増えています)
・高3生(特進・文理コース) 301名
・内部進学希望者 273名
・内部進学辞退者 28名(※1)
・卒業見込者入試合格者 234名(※2)
・内部進学率 85.7%(卒業見込者入試合格者/内部進学希望者×100)
※1「内部進学辞退者」の内訳
・国公立大学を専願で志望する者(3名)
・医療・栄養系など関西大学にない学部・学科の他私大を第一志望とする者(22名)
・スポーツ推薦で他私大に進学する者(3名)
※2「卒業見込者入試合格者」には、関西大学内部進学の権利を有し国公立大学を受験する者を含む
〔参考〕
・2021年度実績:卒業見込者入試合格者282名、内部進学率89.0%
・2020年度実績:卒業見込者入試合格者252名、内部進学率87.8%
・2019年度実績:卒業見込者入試合格者257名、内部進学率87.1%
基本情報
・特進コース:中入生+高入生(1クラス)で構成
・文理コース:高入生で構成
そもそも中学のHPで高入生もカウントする必要があるのでしょうか?
中学のHPによく訪れるのは「中学受験を考えている保護者・受験生」「在校生とその保護者」「教育関係者」などではないでしょうか?
知りたい情報としては、中入生の内部進学率ではないかと思います。
そして「高入生とその保護者」は、中学のHPをあまり見ないと思います。
ではなぜ?
中入生のみの内部進学率が全体より低いから?少しでも進学率を高く見せたいから?
などと、邪推したくなります。
中学のHPには「中入生のみの内部進学率、それに関連する数字」も載せるべきではないでしょうか。
むしろこちらだけでもいいと思いますが。
高校HP(2022/1/21 UP)
そして高校のHPではこう記載されています。
同じくHPの文言を引用します。
今年度の高校からの入学生における、関西大学への内部進学(卒業見込者入試)の結果です。
引用元:関西大学北陽高校HP→(いつの間にか内容が中学HPと同じ内容に書き換えられています/2023.01.25記)
・高3生(特進・文理コース) 199名
・内部進学希望者 185名
・内部進学辞退者 14名(※1)
・卒業見込者入試合格者 174名(※2)
・内部進学率 94.1%(卒業見込者入試合格者/内部進学希望者×100)
※1「内部進学辞退者」の内訳
・国公立大学を専願で志望する者(2名)
・医療・栄養系など関西大学にない学部・学科の他私大を第一志望とする者(11名)
・スポーツ推薦で他私大に進学する者(1名)
※2「卒業見込者入試合格者」には、関西大学内部進学の権利を有し国公立大学を受験する者を含む
〔参考〕
・2021年度実績:卒業見込者入試合格者208名、内部進学率92.4%
・2020年度実績:卒業見込者入試合格者199名、内部進学率92.6%
・2019年度実績:卒業見込者入試合格者186名、内部進学率93.0%
※いずれも高校からの入学生の実績になります。
一番最後の「※」にこう書かれています。
「いずれも高校からの入学生の実績になります。」
つまり、中入生は省かれた数字ということになりますね。
高校のHPには、「受験生とその保護者」「高校へ進学した中入生とその保護者」「高入生とその保護者」「教育関係者」などが訪問します。
しかし、載せられているのは高入生の実績だけ…。
なぜでしょう?
中入生をカウントすると数字が下がるから?少しでも高い数字を載せたいから?
などと、意地の悪い私は邪推してしまいます。
中入生のみ:関大への内部進学率(2022)
公式で発表してくれないのなら、自分で中入生の内部進学率を出すしかありません。
全体から高入生の人数を差し引けば、中入生のみの数字が出るはずです。
少しでも見やすくするために図表にします。
全体(中入生+高入生) | 高入生のみ | 中入生のみ | |||
① | 生徒数 | 301名 | 199名 | ➡ | 102名 |
② | 内部進学希望者 | 273名 | 185名 | ➡ | 88名 |
③ | 内部進学辞退者 | 28名 | 14名 | ➡ | 14名 |
④ | 卒業見込者入試 合格者 | 234名 | 174名 | ➡ | 60名 |
⑤ | 内部進学率(④÷②×100) | 85.7% | 94.1% | ➡ | 68.2% |
どうでしょうか?
中入生の数字が出てきたところで、もうすこし深堀りしていきます。
①生徒数
まず中入生の生徒数が102名となります。
2021-2022の現高3生(内部)は2016年4月に入学しているはずで、この時代は120名募集(現在は105名募集)です。
この年に何名が入学したのかはわかりませんが、102名が入学ということはないでしょう。
仮に募集人数通り120名が入学したとします。
とするならば、18名が消えています。
いろいろな事情があると思います。
例えば…、
・高校へ上がる際に、より学力が高い学校を外部受験して他校へ進学した。
・勉強についていけず、他校へ進学した。
・学校に馴染めずに退学した。
・親の転勤や取り巻く環境の変化、経済的な理由で退学した。
・その他
18名のうち、半数は関大へ進学できる学力があったと仮定しましょう。
すると、内部進学率は (60+9)÷(102+9)×100=62.2%
さらに率が下がってしまいました。
しかし理由はどうあれ、約120名のうちの18名つまり15%が高3までに在校していないというのはどうなんですかね。
②内部進学希望者・③内部進学辞退者
関大への内部進学を希望した生徒が102名のうち88名となっています。
どんなに成績が悪くても、内部進学の可能性がゼロに近くても、学校側から「君はムリだから内部進学を希望しないように」と通告されることはなく、ワンチャン狙いだとしても希望は出せると聞いたことがあります。
北陽は内部進学の権利を有しながら国公立大を受験できるはずです。
たしか私大でも関大にない学部(医歯薬系など)であれば、これもOKなはず。
しかし他私大の法学部や経済学部など、関大にある学部に進学したい場合は、内部進学の権利を捨てなければなりません。
この条件で、この14名はなぜ希望しない?
退路を断って、腹をくくった?
そこまでストイックになれるものなのでしょうか?
考えられるとすれば、「内部進学テスト(?)」のための勉強に割く時間がもったいないので、希望を出さなかったという可能性でしょうか。
いずれにしても14名(約14%:14/102)が内部進学できる可能性を自ら辞退しています。
まあどこの大学付属にも辞退者は一定数いるとは思いますが…。
④卒業見込者入試 合格者
関西大学へ内部進学できた2016年入学の中入生は60名。これが現実のようです。
希望者88名のうち28名(約32%)の希望が叶いませんでした。
⑤内部進学率
内部進学率 68.2%…。
そこそこ衝撃的な数字が出てきました。
2016年の中入生で関大へ進学する権利を有するのはおおよそ2/3です。
それでも中学HPでは85.7%、高校では94.1%と発表されています。
しかし、これらの数字も虚偽や嘘ではありません。
これをどう受け取るかは、それぞれでお考えください。
併設校なのに低いと感じるのか、一般入試で合格することを考慮すれば高いと感じるのかは人それぞれです。
擁護もしておく
学校への批判ばかりと取られかねないので、学校側の擁護もしておきます。
関大への内部進学へは明確な基準があるはずです。
たしか説明会では「高校3年間の成績」「外部模試」「内部進学テスト(?)」などから総合的に判断すると言われていたと思います。
関大進学へは上位から何名という定員(※)があるわけではなく、極端なことを言うと、中入生全員がこれらの基準をクリアすれば内部進学率100%も不可能ではありません(現実にはありえませんが)。
学校の成績・評価においても相対評価ではなく絶対評価なので、基準を超えれば全員に「5」をつけることも可能なはずです(現実にはありえませんが)。
※:学部によって関西大学からの枠(定員)はあります。そういった意味で定員はあるのかもしれません。引き続き調査します。
ということは、最終的には生徒次第とも言えますね。
学校側も内部進学率が高いほど宣伝効果も期待できます。
意地悪で低い成績をつけるメリットはないわけですから、中入生の一部が勉強をしなかっただけとも考えられます。
生徒が勉強しないのか、教師の指導力なのか、カリキュラムなのか、教育システムなのか。
ピンポイントでココが問題だと言うことはできません。
ですから、一概に内部進学率の高低を学校だけの責任にすることはできないと考えます。
まとめ
では、まとめます。
あくまで2022年1月発表の数字ですよ。もちろん年度により上下すると思いますのでご了承ください。
- 北陽高校全体の関大内部進学率は85.7%
- 高入生のみの関大内部進学率は94.1%
- 中入生のみの関大内部進学率は68.2%
- 中入生の14%(14名)は内部進学をなぜか希望しなかった。
- 内部進学を希望した中入生の32%(28名)は関大へ進学できなかった。
- 学内順位ではなく、基準さえクリアすれば内部進学は可能。
- とはいえ、平均を下回らないという目標を意識すべき。
いかがでしたでしょうか?
なるべく学校発表の数字・事実に基づいて記事作成したつもりですが、クレーム等がきたら削除するかもしれません(笑)。
また関係者で気を悪くされた方もいるかもしれませんので、謝っておきます。ごめんなさい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。