【中学受験マンガ】 二月の勝者 圧倒的なリアリティに震える!?

高瀬志帆さんの中学受験マンガ「二月の勝者」。中学受験生の保護者、終了組の保護者も含めてとても共感できる内容です。受験当日までの受験スケジュールや受験塾の思惑なんかもわかって、勉強にもなりますよ。中学受験をお考えのご家庭なら読んで損はなし。普段は中学受験にあまり関心のない旦那さんにも読ませるのもアリです!

あらすじ

以下はオフィシャルのキャッチコピーです。

2020年の大学入試改革を目前に、激変する中学受験界に現れたのは生徒を第一志望校に絶対合格させる最強最悪の塾講師・黒木蔵人!その正体は受験の神様か?拝金の悪魔か?
中学受験が一般化する昨今、もっとも熱い中学受験の隠された裏側、合格への戦略を圧倒的なリアリティーでえぐりだす衝撃の問題作!

引用元:小学館

ネタバレしたくないのでざっくりになりますが、

舞台は関東の中堅中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」。
中学受験塾において合格実績トップのフェニックス(サピックスがモデル)を退職し、吉祥寺校の新校舎長に着任した黒木蔵人は「御三家」の合格者がゼロに終わった残念な校舎のテコ入れをするために来たと言いますが、いかにも「訳あり」って空気が出まくってます。

「学習塾は、子供の将来を売る場所です」と新人講師の佐倉麻衣に言い放つ冷淡な顔とは裏腹に、小学校で逆学歴差別を受ける女子生徒、多額の費用をつぎ込んだものの、不合格への不安に駆られた父との関係に苦しむ男子生徒、公立小学校における人間関係を断ち切り、難関校合格を夢見る不登校の女子生徒などに見せる黒木の温厚さや各学力層にいる生徒への深い理解に基づく指導は、次第に生徒・保護者の心をつかんでいきます。女性なら「ギャップ萌えぇぇえ!」って感じでしょうかw

その一方で佐倉は「黒木は追加料金をもらった生徒のみの個別指導を裏でやるような人間であり、拝金の悪魔だ」とフェニックス時代の黒木の元同僚から教えられたり、深夜の歓楽街を出歩く黒木を目撃し、語られない黒木の素性を気にし始めます。

フェニックス時代、最上位クラスのみを担当させられてきた黒木は「合格後のことを何も考えていなかった」と、自らが家庭に対する想像力や共感力に欠けていることを痛感し、さまざまな家庭の姿を見ることで少しでもそれを補えないかと桜花ゼミナールに移籍し視野を広げようとします。

想像力・共感力に欠けていると自覚している黒木は周囲の人間の力を借りつつ、生徒だけでなく保護者のメンタルケアにも全力を尽くそうと気持ちを新たに取り組みます。

物語は佐倉の視点から書かれており、中学受験の経験がない佐倉や生徒の保護者たちに黒木が中学受験に関する知識を説明する場面が随所に登場します。これらが非常に受験生家族には役立つシーンとなります。

また、多数の参考文献を基に作られたストーリーには実在する学習塾・模擬試験・中学校などのパロディーが多数登場するに至り、徹底的なリアリティへのこだわりが秀逸です。

楽しめるタイミング

できれば、受験生なら6年生の夏休みまでに読むことをオススメします。それ以降は親も子もバタバタになりますのでマンガを読むどころではなくなります。

秋以降に起こり得ることを想定しておくこともできますので、心の準備をしておくのも良いでしょう。
そして夏以降は現実も見えてくる時期ですので、リアルすぎたり生々しすぎて不安になる人もいるかもしれませんのでご注意ください。

できれば、5年生のうちに読んでおいて「6年生ではこの時期にこんな問題が起こる可能性があるんだなぁ」ぐらいに想定しておくと動揺せず冷静に対処できるかもしれませんね。

エンターテイメントとして一番楽しめるのは中学受験終了組です。「あぁ、こんなことあったなぁ」「この時期は大変だったなぁ」など感慨にふけったり、当時を思い起こすのに一役かってくれます。

それぞれの家庭にそれぞれの中学受験がある

作中には様々な家庭が出てきます。持ち偏差値に関係なくそれぞれに苦悩や不安、家族の不和、希望やや絆があります。

「ウチはこの家庭に近かったなぁ」とか「この家庭を応援したいなぁ」とか感じながら読んでいました。あと金銭的な話も生々しく出てきますので、ある程度の覚悟もできると思いますよ。すでに金銭感覚が崩壊しているかもしれませんが(笑)。

  • 成績が良くても家庭にトラブルの種を抱えている子
  • イジメが原因で不登校になり、地元公立中学へは行きたくない子
  • 親からあまり期待されていない子
  • 親の見栄のために中学受験させられている子
  • 兄弟で比較され素質はあるのにくすぶっている子
  • 父親の横暴で振りまわされる子
  • 強気に振る舞っているが内心は不安で仕方がない子
  • 親は中学受験の知識がまるでないが子供は成績優秀
  • あるきっかけで成績が急上昇する子、逆に急降下する子
  • まわりの足を引っ張ろうとする子

ホントにそれぞれに個性があって飽きません。
今までサボることばかり考えていた子にスイッチが入った瞬間などは、大げさにいうとトリハダものです。

終了組としては全員が志望校に合格してほしいと願うばかりですが、全員志望校合格というのはリアリティに欠けてしまうというジレンマ。うーん、もどかしい(笑)。

ハマった理由

私自身が中学受験経験者(ぬるめ)であり、子供二人が中学受験を経験したということもありますが、中学受験という「沼」を忠実に、またリアルに描いているからです。

ストーリーもさることながら、やはり親の立場、受験生の立場を経験した者としては、黒木の一言一言に非常に共感・同意できるのです。例え話なども秀逸ですよ。「中学受験の本質とは何か?」を考えさせられたりもしました。

黒木は時にギョッとするような辛辣な発言もしますが、真意は別にあったりします(後に伏線回収してくれる)。脇を固める講師陣や子供、保護者もキャラが立っていて応援したくなりますし、「あそこのご家庭に似てるなぁ」とか想像してニヤニヤしてました。

ぐだぐだ駄文を綴りましたが、紙媒体でもkindleでもいいので読んでみることをおすすめします。
注意点としては本で読み始めると、まとめ買いしない限り、夜に本屋さんへ続きを買いに走ることになるかもしれませんよ(笑)

↓こちらは中学受験を検討、もしくは入塾したてのご家庭におすすめです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

コメント